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家づくりコラム

はじめての家づくり

長期優良住宅ってなに?



「長期優良住宅(ちょうきゆうりょうじゅうたく)」とは、日本の法律に基づいて定められた、長期間にわたって良好な状態で住み続けられる性能を持つ住宅のことです。2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて制度化されました。

長期優良住宅として認定されるためには、以下のような厳しい基準を満たす必要があります。

主な特徴や認定基準を簡単にまとめてみました。


▼ CONTENTS ▼


1.耐震性

2.劣化対策

3.維持管理・更新の容易性

4.省エネルギー性

5.可変性(住戸の間取り変更などへの対応)

6.居住環境

7.維持保全計画の策定

8.メリット

9.注意点


1.耐震性

地震に強く、一定以上の耐震性能を有すること。

・耐震等級2以上(等級1の1.25倍の強さ)
 建築基準法で定められた最低限の耐震性能(耐震等級1)に対して 1.25倍の地震力に耐えられる構造。

・学校や病院などの「避難所」にも求められる水準。

・阪神淡路大震災級の地震でも倒壊しにくいとされる。

・地震エネルギーを「逃す」「吸収する」仕組みを持つ構造。

・初期コストは上がるが、地震時の損傷リスクが大きく減る。


耐震等級耐震性能の目安対応地震規模
等級1建築基準法の最低基準(震度6強〜7で倒壊しない)約60年に一度の大地震に対応
等級2等級1の1.25倍の耐震性学校・病院などと同水準
等級3等級1の1.5倍の耐震性消防署・警察署などと同水準

※長期優良住宅には原則等級2以上が求められます。

耐震等級は設計段階で第三者機関による評価・証明が必要です。

リフォームで長期優良住宅化する場合、特に木造旧住宅は耐震補強が難しいこともあります。



2.劣化対策

住宅の構造や躯体が数世代(おおむね100年以上)にわたり使用できるよう対策されていること。

住宅は長年使用するうちに、雨、湿気、シロアリ、温度変化などによって劣化します。劣化対策とは、こうした経年劣化を抑え、構造体(柱・梁・土台など)が長持ちするように設計・施工されているかを評価するものです。





3.維持管理・更新の容易性

配管や設備の点検・交換がしやすい設計であること。

住宅は長期間使ううちに、水道管、排水管、ガス管、電気配線などのライフライン設備の劣化・故障が避けられません。そのため、こうした設備を簡単に点検・交換できる構造にしておくことが重要です。

〇点検口の設置
床下、天井裏、配管周辺などに十分な数の点検口を設けることで、後からの点検・修理が容易になる。

〇配管のルート確保
給排水管、ガス管、電気配線などがコンクリートなどで密閉されず、交換可能なルートにある。

例:二重床、二重天井構造の採用

〇配管の寿命・更新を想定した設計
複数の設備が集中するメンテナンススペースの確保(ユニットバス裏、洗面所の下など)。

高耐久な配管材(樹脂管など)を選ぶ。

〇設備機器の交換性
給湯器やエアコンなどの設置スペースや取り外ししやすさを考慮して設計。

維持管理の配慮は目に見えにくいため、建築前の設計段階でしっかり確認する必要があります。

リフォームでは改善が難しい場合もあるため、新築時の配慮が特に重要です。





4.省エネルギー性

断熱性能などにより、省エネルギー基準を満たしていること。

快適で環境に優しく、光熱費も抑えられる住宅であることが求められます。

認定基準(2022年基準以降)

・断熱性能等級5以上

・一次エネルギー消費量等級6以上

これは「2022年省エネ基準」またはそれ以上の性能を満たす必要がある、ということです。

省エネ性能の2つの軸

① 断熱性能(=熱を逃がさない・入れない性能)
壁・屋根・床・窓などの外皮(がいひ)の断熱性を高める。

用語例:

・UA値(外皮平均熱貫流率):値が小さいほど断熱性能が高い。

・断熱等性能等級:等級5以上が長期優良住宅の基準。

対策例:
・高性能断熱材の使用(グラスウール、ウレタンフォームなど)

・複層ガラス・樹脂サッシなどの高断熱窓

・玄関ドアも断熱仕様に

② 一次エネルギー消費量(設備の省エネ性)
・家全体の冷暖房・換気・給湯・照明に必要なエネルギー量を計算し、国が定める基準値以下である必要があります。

・太陽光発電などの創エネ設備がある場合は、エネルギー削減として加味される。

対策例:
・高効率エアコン・LED照明

・エコキュートやエコジョーズなどの高効率給湯器

・換気システム(第1種熱交換型など)



5.可変性(住戸の間取り変更などへの対応)

ライフステージの変化に応じて、間取りなどを変更しやすい構造であること。

人生の中で、住まいに求める機能や空間は変わっていきます。

たとえば子どもが生まれる・独立する、在宅勤務が増える、高齢になってバリアフリーが必要になる。

こうした変化に対応しやすい設計=「可変性が高い住宅」とされ、長期優良住宅ではそれが推奨されています。






6.居住環境

地域の景観やまちづくりと調和していること。

「居住環境」の基準では、住宅そのものの性能だけでなく、敷地や周辺との関係性や地域のルールを尊重しているかどうかが問われます。これは地域との調和を重視する日本ならではの制度的な観点です。

主な評価内容(居住環境の基準)

  1. 地区計画・条例等との整合性
    地域ごとに定められている都市計画、地区計画、建築協定、景観条例などのルールに適合していることが条件です。

   例:建物の高さ制限、色彩・外構のデザイン、緑化の義務など

  1. 良好な景観の維持
    建物の外観、植栽、フェンスなどが周囲と調和している。無秩序な開発や周囲との不整合がないように計画されている。

  1. 日照・通風・騒音などの配慮
    自宅だけでなく、隣家にも配慮した配置や高さ設計。日当たりや風通し、騒音などに対する配慮がなされている。

  1. 敷地内の環境整備
    雨水排水や浸透対策、敷地内の緑化などによって、環境負荷の低減に寄与している。エコな外構設計(透水性舗装や植栽帯など)も評価対象となりうる。




7.維持保全計画の策定

定期的な点検・修繕の計画があること。

住宅は、いくら高性能であっても使い方やメンテナンスを怠れば劣化が早まるため、点検・補修のスケジュールや方法をあらかじめ明記したものがこの「維持保全計画」です。

計画に盛り込むべき内容(主な項目)


① 点検項目

 どの部分を点検・修繕するか(屋根・外壁・基礎・配管・給排水など)


② 点検時期

 点検・修繕の実施スケジュール(例:10年ごとなど)

③ 実施体制

 誰が点検・修繕を行うか(所有者自身 or 専門業者)

④ 記録の保管方法

 点検・修繕の履歴をどう管理・保存するか(紙・電子など)

⑤ 更新・改善の方法

 点検結果をもとに、必要に応じて保全計画を見直す方法




8.メリット

長期優良住宅に認定されると、以下のようなメリットがあります

①住宅ローン減税の優遇

控除対象借入額限度額の引き上げ

一般住宅4,000万円の限度額に対し、5,000万円に引き上げられる(控除率0.7%、控除期間13年間、最大控除額455万円)

②固定資産税の軽減

③登録免許税・不動産取得税の減税

④フラット35(長期固定金利ローン)での金利優遇

住宅ローンの金利の引き下げ等を受けることが可能

フラット35S

 フラット35の借入金利を当初10年間、0.25%引き下げ

⑤資産価値の向上



9.注意点

・認定申請が必要で、設計・建築に追加コストがかかることがあります。

・申請には専門家(建築士など)の関与が必要です。


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