地震で断水したらどうする?2026年熊本地震に学ぶ、今からできる「水」の備え
1. 熊本地震にみる、断水解消までの道のり
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生しました。国土交通省の発表では、被災した17市町村で最大約14万戸が断水し、猛暑の中で「飲み水を少しずつしか使えない」「汗を洗い流せない」といった声が被災地から数多く聞かれました。停電や道路の損壊と並び、多くの被災者が「一番困った」と口をそろえたのが、この断水だったといいます。
熊本市上下水道局が発信していた緊急情報を見ると、断水の解消がいかに手間のかかる作業だったかがよくわかります。熊本市内では南区富合町のほぼ全域や城南町の一部などで断水が発生し、当初は南区だけで9,000戸規模におよびました。さらに、揺れによる水圧低下で今後追加の断水が起こりかねないエリアも1万戸以上あるとされ、上下水道局は断水を食い止めながら、並行して漏水箇所を特定する調査や、応急給水所の設置・運営を進める必要に迫られました。
断水そのものが解消したあとも、すぐに安心して水を使えるわけではありません。北区・西区の一部(和泉配水区)では、地震発生から1週間以上が過ぎた8月3日時点でも約8,000戸で水の濁りが続いており、上下水道局は「水道水の安全性が確認されるまでは、飲料用・調理用としての使用をお控えください」と呼びかけていました。水道管の中に入り込んだ濁った水を排水作業で押し流し、あらためて水質を確認できるまでは、トイレや清掃といった生活用水には使えても、飲み水としては使えない状態が続いていたのです。
熊本市上下水道局はその後も断水や濁水の状況を随時更新し、通算37回にわたって緊急情報を発信し続けました。最後まで残っていた南区城南町(沈目・塚原・陳内・藤山・鰐瀬の一部)約400戸の断水が解消したのは、8月3日19時30分時点。ここでようやく、市内で発生していたすべての断水が解消したと発表されました。地震発生からおよそ1週間、断水そのものの解消だけでなく、漏水調査、応急給水、濁水の排出と水質確認という何段階もの作業を経て、ようやく「普段どおり水が使える」状態に戻ったことになります。
住まいと暮らしの住宅相談窓口「リブリブホーム」では、企業や自治体の防災担当者向けではなく、これから家を建てる方、すでにお住まいの方に向けて、ご家庭でできる断水への備えをまとめました。地震はいつ、どこで起きるかわかりません。今回の熊本地震のニュースをきっかけに、ご自宅の備えを見直してみませんか。
2. なぜ地震で断水が起こるのか
断水と聞くと「水道管が壊れるから」というイメージが強いかもしれませんが、実は原因はひとつではありません。
水道管そのものの損傷
水道管の法定耐用年数はおよそ40年とされていますが、高度経済成長期に整備された管路の更新が追いついていない地域は全国に少なくありません。老朽化した管は地震の揺れに弱く、破損しやすい傾向があります。
停電による送水停止
水道施設は送水ポンプなどに電力を使っているため、停電が長引くとポンプが止まり、水を送れなくなります。マンションの高置水槽方式の建物でも、ポンプが止まれば上の階から順に水が出なくなることがあります。「停電イコール断水」も起こり得る、という前提で備えておくことが大切です。
地盤や設備の被害
地震による地盤の変動や道路の陥没が水道管を直撃し、断水につながるケースもあります。実際に今回の熊本地震でも、震度7を観測した地域を中心に広範囲で断水が発生し、復旧までに1週間以上を要したエリアがありました。国土交通省は8月中の断水解消を目標に掲げていましたが、それでも被災直後から2週間近く不自由な生活を強いられた住民が大勢いたのが実情です。
断水が暮らしに与える影響
断水は「飲み水が飲めなくなる」だけの問題ではありません。実際の生活では、次のようなさまざまな場面に影響が及びます。
– 飲料水や調理用水の確保が難しくなる
– トイレが流せなくなり、衛生環境が悪化しやすい
– 洗濯や入浴ができず、特に夏場は熱中症や体調不良のリスクが高まる
– 給水車や給水拠点に長時間並ぶ必要が生じる
過去の熊本地震(2016年)でも、避難所で最も不足した物資の上位に生活用水と飲料水が挙げられており、水の確保が被災生活の中でもとりわけ大きな課題であることがわかります。
3. 今からできる、ご家庭の備え
企業のBCP(事業継続計画)ほど大がかりでなくても、ご家庭でできる備えはたくさんあります。ポイントは「最低3日分、できれば1週間分」を目安に、無理なく続けられる形で備蓄することです。
1. 飲料水の備蓄
一人あたり1日3リットルが目安です。4人家族であれば1週間分で約84リットルになります。ペットボトルの水はまとめ買いし、消費期限が近いものから普段の生活で使う「ローリングストック」を意識すると、備蓄を切らさずに済みます。
2. 生活用水の確保
飲料水以外にも、トイレや洗い物に使う生活用水が必要です。お風呂の残り湯をためておく、ポリタンクを常備しておくといった工夫が役立ちます。
3. 簡易トイレの準備
断水時に困りやすいのがトイレです。凝固剤付きの簡易トイレやガスタイプの携帯トイレを、家族の人数×日数分、用意しておくと安心です。
4. 給水情報の確認方法を決めておく
断水が起きた際、どこで給水を受けられるかを事前に把握しておくことが大切です。お住まいの自治体の給水拠点や、防災アプリ・ハザードマップでの情報確認方法を、家族であらかじめ共有しておきましょう。
5. ご自宅の水回り設備の点検
築年数が経った住宅では、給水管や貯水設備の老朽化が断水時の被害を大きくすることがあります。リフォームや設備更新のタイミングで、水道管の状態や耐震性についてもあわせて確認しておくと、いざというときの安心材料になります。
4. 実際に断水が起きてしまったら
1. まずは自治体の給水情報を確認する
断水が起きると、多くの自治体の水道局が「災害時給水ステーション」を開設します。たとえば東京都水道局の例では、自宅からおおむね半径2km圏内に1か所を目安に、浄水場や給水所、応急給水槽など都内213か所に開設され、成人1人1日あたり3リットルを目安に給水が行われます。水を受け取る際は、清潔な容器を持参する必要があります。お住まいの自治体でも同様の仕組みがあることが多いので、給水拠点の場所を事前にハザードマップ等で確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
2. 備蓄している水は用途別に優先順位をつけて使う
飲用・調理用の水は最優先で確保し、洗濯やトイレなど生活用水にまわす水は、風呂の残り湯やポリタンクにためた水を活用しましょう。
3. トイレは無理に流さず、携帯トイレを活用する
特に集合住宅では、各住戸の排水管がつながっているため、配管の破損状況が確認できないまま無理に水を流すと、下の階で汚水があふれるおそれがあります。安全が確認できるまでは携帯トイレ・簡易トイレを使うのが安心です。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、1人1日あたり5回程度のトイレ使用を想定しており、携帯トイレの備蓄量は「人数×5回×日数」を目安に計算すると考えやすくなります(4人家族で1週間分なら、4×5×7=140回分が目安です)。
4. 夏場は熱中症に注意する
断水中は水分補給を控えがちになりますが、特に気温が高い時期は熱中症のリスクが高まります。備蓄の水は少量でもこまめに口にすることを心がけましょう。
—
参考:国土交通省・熊本県発表資料、熊本市上下水道局「緊急情報」、内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」、東京都水道局「災害時給水ステーション」、令和8年熊本地震の通信・充電状況に関する報道、報道各社による2026年熊本地震(令和8年熊本地震)関連報道
リブリブホームでは「スマートフォンの充電」も見落とせない備えのひとつだと考えています。
実際の熊本地震の被災地では、
①充電スタンド事業者によるモバイルバッテリーの無料開放
②携帯キャリア各社による電池パック提供や修理費減免などの支援
③安全な場所に停めた車からのUSB給電
④省電力設定や連絡を1台に絞るといった工夫
⑤発熱・膨張したバッテリーは使わない、発電機を屋内で使わないといった注意点の周知
という形で急場をしのぐ対応が進められていました。
給水情報や自治体からの連絡はスマートフォンで確認する場面が多いだけに、
こうした「その場しのぎ」に頼らずに済むよう、
災害時用のモバイルバッテリーなども備えておくことを、リブリブホームからもおすすめします。
住まいの断水対策は、備蓄品の準備だけでなく、住宅そのものの水回り設備の状態にも大きく左右されます。「うちの給水管は大丈夫だろうか」「耐震性の面で見直したほうがいい箇所はないか」など、住まいに関する不安や疑問がありましたら、住まいと暮らしの住宅相談窓口「リブリブホーム」までお気軽にご相談ください。暮らしに寄り添う視点で、ご自宅に合った備えを一緒に考えます。
気になることがあれば